2015年12月27日日曜日

ロッテ球団が大々的にボランティアを募集。またファンをタダ働きさせようとしている


千葉ロッテマリーンズ球団が球場でのボランティアを大々的に募集するそうです。


ロッテがイベント補助などボランティア組織立ち上げ (ニッカン)

ロッテは21日、千葉でのさらなる地域密着を推進するため、2016年シーズンより、ボランティア組織「マリーンズ・ボランティア」を立ち上げ、ボランティアクルーの募集を開始することを発表した。

 募集に関する一般説明会受け付けは、球団ホームページで2016年1月15日(金)からスタートする。

 主な業務は、スタジアム案内、美化活動、イベント補助。開場1時間30分前から5回裏終了まで。

 対象は、2016年4月1日時点で25歳以上で原則、年間に10回以上参加可能な人。

 募集人数は300人。

 問い合わせは、千葉ロッテマリーンズインフォメーションセンター 電話03・5682・6341(平日午前10時~午後5時)。

 山室球団社長は「このたび、『マリーンズ・ボランティア』の組織を立ち上げることになりました。より地域密着を推進し、地域に根付いたスタジアム作りを行うために、サポートして頂ける方を大募集したく考えています。私たちはチームの日本一を目指すと同様に、日本一の球場を作り上げたく考えています。人と人との触れ合いを大切に、そして今まで以上に快適で、より楽しめる空間を創出するため、『マリーンズ・ボランティア』のお力とお知恵をお借りしたいと思っています。ボランティア活動に興味がある方、野球場での活動に興味、関心のある方、ご応募お待ちしています」とコメントした。



球団公式サイトには募集要項が出ています。

ボランティア活動クルー(スタッフ)募集について (球団公式)

千葉ロッテマリーンズは2016シーズンより球団創設以来初めて、ボランティアでQVCマリンフィールドにて行われる千葉ロッテマリーンズ主催ゲームの試合サポートをしてくださる方を募集いたします。
野球に興味のある方、プロ野球という非日常的な環境でのボランティア活動に興味のある方、千葉を代表する施設での活動に関心のある方など…是非、皆様のお力をお貸しください!!

活動内容
①スタジアム案内 ②美化活動 ③その他イベント補助

※お困りの方へのサポートを主にお手伝いいただきます。
※主に球場内外を動き回る内容となります。

活動日 QVCマリンフィールドでおこなわれる千葉ロッテマリーンズ主催ゲーム
(2016年3月~2016年11月 約80試合)
活動時間
開場1時間30分前~5回裏終了まで(約5~6時間程度)

※デー・ナイターゲームなど試合日程等により変動します。
[参考]
デーゲーム 9時30分~15時00分頃(13時00分試合開始)
ナイター 15時15分~20時30分頃(18時15分試合開始)

対象となる方
25歳以上 ※2016年4月1日時点

・原則、年間に10回以上参加可能な方

活動場所
QVCマリンフィールド

※JR京葉線 海浜幕張駅より徒歩15分 バス5分
※JR総武線/京成千葉線 幕張本郷駅より バス20分

募集期間 2016年1月下旬~
※定員に達し次第受付終了となります。
募集人数 300名
その他 ユニフォーム貸与
弁当・お茶支給
交通費支給(一律500円、自家用車での通勤不可)
ボランティア保険加入(当社負担)



プロ野球におけるボランティア導入事例としては楽天イーグルスや北海道日本ハムファイターズの例があります。


楽天イーグルスのボランティア活動 (楽天球団公式)

「ファイターズ場内運営ボランティア募集」のお知らせ (日ハム球団公式)

【野球】ファイターズが2016シーズンの場内運営ボランティアスタッフを募集 (Sports Business info)
 

日ハムの球団公式サイトには来季のボランティア募集要項が掲載されていましたが、マリーンズのものとほとんど同じですね。
ロッテ球団が日ハムの真似をしているのが丸分かりです。
ただ、日ハムは2007年からの地道な活動の結果300人を超すボランティアが登録するようになったのです。
マリーンズがいきなり募集して300人もの人数が集まるのか。おそらく無理でしょう。
年間10試合もマリンに来られる熱心なファンにとって、10試合も球場にいながら試合観戦できないのは拷問です。
賃金をもらうなら仕事として割り切れますが、無償は無理です。私には耐えられません。

そもそもこのボランティアはどういう人たちを想定しているのでしょうか。
25歳以上で平日参加可能なのは主婦か仕事をしていない高齢者になるでしょう。ただ、そういう人たちにとってマリンのアクセスは悪すぎます。
自家用車の来場は禁止ですから、徒歩、自転車あるいは公共交通機関を利用しなければなりません。
往復500円では京葉線沿線以外無理ですね。幕張本郷までのバスが往復520円で予算オーバーですから。
仙台駅から電車で1駅か徒歩20分の仙台や、札幌駅から地下鉄で一本の日ハムとは違うのです。



ボランティア導入に係る理念そのものにも疑問があります。
以前から地域密着活動をしていたのに、なぜ突然来年からボランティアなのか。
地域密着は単なる口実で、経費節減の一環としてのボランティア導入にしか見えません。
理念の無いボランティアは単なるボランティアによるタダ働きです。


実は、ロッテ球団は2007年にもファンをボランティアとしてタダ働きさせたことがあります。
内容はなんと駅構内におけるファンクラブへの入会勧誘活動。
ファンクラブ申し込み書類を駅で書かせるわけで、個人情報管理の杜撰さと合わせ大きな問題となりました。
当時のことはこのブログのエントリーをご覧いただければと思います。


ロッテがファンをタダ働きさせようとしている件

「ボランティア募集」の件について球団に問い合わせてみました


ボランティアの導入で問題となるのは労働者性の有無です。
業務内容や受け入れ態勢から労働者であると判断されるのであれば、しかるべき賃金を支給しなければなりません。

労働者性の有無を判断する基準のひとつとして、ボランティアが球団職員の指揮命令下に置かれるかどうかというものがあります。
ボランティアとはそもそも自主的に活動するべきものですから、球団職員の指揮命令を受けません。
しかし、今回の業務は来場者への接客対応が含まれます。もしボランティアが来場者に問題ある対応をすれば、来場者の顧客満足度は大きく低下します。
球団として大きな損失となるばかりか観客減にも繋がりかねません。
今回のボランティア募集は客の立場に立っていませんね。客にとっては対応する人間が正職員だろうがバイトだろうがインターンだろうがボランティアだろうが関係ないのですよ。
ちょっと質問しただけで待たされたり、間違ったことを言われたり、失礼な対応をされれば当然不快ですし、その不快感は口コミとなって連鎖反応していきます。

だからと言って球団側がボランティアに対して接客に係る研修を行ったり、指揮命令を行えばそれはもはやボランティアではありません。
ボランティアでないのなら、正当な賃金を支給すべきでしょう。ボランティアがトラブルを起こした場合の責任の所在や苦情処理体制も不明確です。

守秘義務の点でも心配ですね。
ボランティアが秘密にすべき情報をツイッターなどのSNSで拡散したらやっかいなことになりますよ。
直接もしくは間接的に雇用関係にあるものなら賃金、インターン学生であれば就職という歯止めがありますが、ボランティアにはそれがありません。

マリンの売店「ひろ屋」が球団から契約を打ち切られ、facebookで不満をぶちまける

以前のエントリーを思い出しました。すべてが事実ではないかもしれませんが、球場にいる球団職員の質がよろしくないであろうことは分かります。
もしボランティアと球場職員がもめた場合どうなるでしょう。

球団のイメージが損なわれることになったら大変です。

球場での清掃や来場者の案内は大変な仕事です。
大変な仕事なのですから、きちんと給料を払い、労働者として扱うべきです。
経費節減の為にボランティアを使うべきではありません。
営利事業の客商売なのですから、接客の質の維持を第一に考えるべきだと思います。

以上の点から、私は球団のボランティア導入に反対します。


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source : マリンブルーの風