2018年11月5日月曜日
最近のカープ、あれこれ~'18.11.4、日本シリーズを終えて・去就あれこれ・新井さんの話。
☆さて、日本シリーズは残念ながら勝てなかった訳で。
◇広島・緒方監督、またも届かず「勝つチャンスあった」 11/4(日) 9:46配信 サンケイスポーツ
SMBC日本シリーズ第6戦(広島0-2ソフトバンク、ソフトバンク4勝1敗1分、3日、マツダ)
1984年から遠ざかる日本一に、またも届かず。緒方監督は「自分の力不足」と何度もわびた。リーグ最多の95盗塁を誇る機動力が機能せず、この日も一回と二回に盗塁を試みたが、いずれもアウトに。今季41度の逆転勝ちを演じた反発力は鳴りをひそめた。それでも指揮官は「力の差は感じていない」とし「この経験を来年に生かしたい。ユニホームを着ている以上、(シーズンが)終わった瞬間から次の戦いが始まっている」と前を向いた。
■データBOX
〔1〕広島は1984年に日本シリーズを制覇して以降、34年間日本一なし。最後に日本一になってから34年以上遠ざかっているのは、現12球団では最長(2位は阪神の33年)で、平成の30年間で日本一になれなかったは広島と阪神の2球団だけ。日本一の最長ブランクは中日の52年(55-06年)。近鉄は球団創設年の50年から消滅した04年までの55年間一度もなかった。
〔2〕広島のシリーズ8盗塁死(牽制からの盗塁死1を含む)はワースト記録で、54年の西鉄、64年の南海、75年の阪急の各7度を抜いた。8連続盗塁死もシリーズ史上初。
☆ソフトバンクも強かったですが、それ以上にカープが自分たちの野球をすることができませんでしたね。精神的に余裕のあったソフトバンクに比べ、ズムスタに戻った第6戦でさえ、カープには覇気がありませんでした。
◇セ王者・広島、2年ぶり挑戦も日本一の夢散る 松山「本当に難しい」誠也「力は出した」 11/4(日) 14:10配信 ベースボールチャンネル
◆来季へ課題「もうちょっと確実性を求めたい」
「SMBC日本シリーズ2018」第6戦が3日、マツダスタジアムで行われ、福岡ソフトバンクホークスが広島東洋カープに2-0で勝利。シリーズ4勝1敗1分けとして2年連続9度目の日本一に輝いた。34年ぶりの日本一を狙った広島は、2年ぶりの日本シリーズも雪辱はならなかった。
広島は、1勝1分けで迎えた敵地での第3戦から4連敗を喫し、34年ぶりの日本一はならなかった。第6戦では、先発リック・バンデンハーク投手をはじめソフトバンク投手陣に打線が沈黙。3回以降は二塁を踏めず、4安打完封負けとなった。
試合後、この試合で2打数無安打だった広島の松山竜平外野手は、試合後「本当に難しいと改めて思った。やっぱり短期決戦の怖さっていうのが一番。自分らしい野球をさせてもらえなかった」とコメント。シリーズを通じて3割以上をマークしながら敗退した悔しさを素直に口にした。
また、鈴木誠也外野手は「(バンデンハークは)球が速すぎて軽打しかできなかった」と話す一方で、「悔しさというよりかは、しっかり良い試合はできたので。もう完敗だったので、自分の力を出して負けたなら仕方ない」と力を出し尽くしての敗退に達成感あるコメント。そして最後には、「まだ荒々しいところがある。もうちょっと確実性を求めたい」とシーズン中の課題を挙げながら来季への意気込みを語った。
2年ぶりに挑戦した日本シリーズだったが、日本一の夢はまた来季以降への目標に切り替わった。セントラル・リーグ覇者としてのシーズンが、またこの瞬間から始まろうとしている。
取材・氏原英明、文・ベースボールチャンネル編集部
☆ま、誠也くんは、まだ若いですから。
◇【大野豊氏 シリーズ大分析】「甲斐の肩」におびえた広島 機動力空回り 11/4(日) 9:00配信 スポニチアネックス
◇SMBC日本シリーズ第6戦 ソフトバンク2―0広島(2018年11月3日 マツダ)
広島ベンチは「甲斐の肩」におびえ、そして自慢の機動力は空回りした。本紙評論家の大野豊氏(63)は、顕著な例として、2回2死一、三塁の先制機で一塁走者の安部が単独スチールを仕掛け、アウトになった場面を挙げた。今シリーズは第2戦以外は全て3点差以内の接戦だったが、ソフトバンクが放った7本塁打が全て効果的な場面で出たところに強さが表れていたと分析した。
広島の2回の盗塁失敗は、意図が見えづらいものだった。2死一、三塁。打者は石原で2ストライクに追い込まれていた。動くかもしれないと思って見ていたが、一塁走者の安部が単独スチールで、簡単にアウトになり、先制機を逃した。
動くなら、として私が考えたのは重盗だ。一塁走者が一、二塁間で挟まれているうちに三塁走者が本盗を決める。どうしても1点が欲しい場面で見られる作戦だ。策を取った結果、アウトで得点に結びつかないなら仕方ないし、チームとしても納得がいく。それだけに、安部の単独盗塁は不可解だった。仮にセーフになってもいかがなものだろう。打撃があまり良くない石原で、2ストライクと追い込まれていた。次打者は9番のジョンソン。1点が取れるとは言い難い局面だ。相手にプレッシャーを与える盗塁とはなりにくいものだった。
やはり「甲斐の肩」が効いている証拠だろう。広島の足が、ここまで機能しなかったことに驚く。初回、田中の二盗失敗も、これまでよりベース付近でスライディングをしていたように見えた。チームとしてさまざまな甲斐対策を取っていたが、なかなか結果が出ず、ベンチが動揺していた部分もあるかもしれない。
甲斐がMVPに選ばれたことは私からすれば当然と思う。6試合を振り返っても、本当に広島の流れを止める盗塁阻止が多かった。この日、広島が点を取れるとしたら、初回と2回だけだった。急場をしのいだことで、3回からバンデンハークのエンジンが掛かった。捕手は地味な仕事が多いが、相手の強さを封じるという最高の仕事をした。
◆バンデン3回以降“覚醒”
3回以降のバンデンハークは別人のようだった。この日は特に直球の切れが良かった。ファウルした球はほとんどが逆方向で、引っ張ることができなかった。だからこそカーブが効いた。速球に力があるだけに、甲斐も遅い球、つまりカーブの使い方を考えただろうが、これも絶妙だった。
6回の丸は完全に翻ろうされていた。2~4球目にカーブを見せられ、配球を考えさせられた部分もあったはず。続く5球目の直球、6球目のカーブ、ともにタイミングが合わず空振り三振。4回の打席で直球に空振り三振させられているだけに、直球への意識をソフトバンクバッテリーに逆手に取られた格好だ。4回の鈴木に対しても1~3球目はカーブ、4~6球目に直球、そして最後はカーブで空振り三振。いかに、この2つの球種が良かったかを物語っていた。
バンデンハークのカーブは落差があり、線で捉えるのが非常に難しい。緒方監督も「あのカーブが本当に邪魔だ」と言っていたが、カーブを意識させられて直球に合わなくなる。反対に直球を意識すると、カーブにタイミングが合わない。この日は最速158キロで、最も遅いカーブは111キロ。47キロ差の緩急が好投の要因だった。
広島がバンデンハークから放った4安打は全て直球かカーブ以外。半速球といわれるようなスライダーかチェンジアップだった。第2戦では5回で8安打していただけに、良いイメージがあっただろう。3回以降、投球がかみ合いだした右腕への対策が遅れた要因の一つかもしれない。
◆小技も本塁打も効果的だったソフトB
点差以上にソフトバンクの強さを感じた試合だった。2点の取り方が特にそう。4回、先頭・柳田が四球を奪い、広島のお株を奪うような初球のエンドラン。そして内川が犠打を決め、西田がスクイズ。小技を集めた結果の先制点だ。初回、広島は菊池の犠打失敗があっただけに、余計にそう感じた。
2点目のグラシアルの一発も効いた。先制点を取り、中押し点が欲しい局面の5回、しかも2死無走者だ。広島バッテリーも警戒していただろうが、低めのカットボールを見事に運ばれた。相手ベンチに与えるダメージの大きい一発だった。
今回のシリーズを振り返ると、ソフトバンクの本塁打には無駄がない。なくても勝てるだろう、というようなダメ押しの一発ではなく、どれも効果的で、試合を動かすものばかりだった。本当に強いチームの証とも言える。最終戦で広島の良いところが見られなかったのが残念でならないが、ソフトバンクが今年の「日本一」といえる試合内容だった。
≪150キロ以上に弱かったタナキクマル≫ バンデンハークはこの試合で150キロ以上を計測(最速は158キロ)した直球が41球。このうち4~6回が29球で、中盤に一気にギアを上げた。今季の広島打線の150キロ以上の直球打率を見ると、4番の鈴木が・389をマークしているが、田中、菊池、丸の1~3番は分が悪い。丸は直球全体では・346だが、150キロ以上となると、打率・226だった。
☆二遊間の連携、バント空振りの後の失敗。菊池が何を考えてプレーしていたのか、本人のコメントを是非聞いてみたいところ。
☆お次は、達川さんから見たカープ。
◇【ソフトバンク】達川ヘッドが古巣・広島との日本一決戦振り返る…鈴木抑えるプラン失敗の理由 11/4(日) 8:01配信 スポーツ報知
◆SMBC日本シリーズ2018第6戦 広島0―2ソフトバンク(3日・マツダスタジアム)
広島のかつての名捕手で監督も務めたソフトバンク・達川光男ヘッドコーチ(63)が、古巣との日本シリーズを語った。敵として見た広島や、ソフトバンクの勝因を“達川流”に解説した。
「マツダでの1試合目だけは感傷的になるかなと思った。セレモニーの時には、広島に帰ってきたなと。ただ、試合に入ればなくなった。メンバー見たら、一緒にやったのは新井しかいないな、と」
西武とのCS最終Sは秋山を徹底マークした。丸にはある程度活躍を許しても、鈴木は極力抑えるというプランがあった。
「でも、鈴木は成長していた。投げミスを全部打てるようになっている。内角に弱点があったんだが、投げミスしたら全部ホームラン。チームは相変わらず何点勝っても負けても、一生懸命やっている。私らがいた時と全く同じ。伝統が続いている」
シリーズ前から、マツダで勝つことの難しさを繰り返してきた。
「マツダで一つ勝つのは至難。巨人が勝てないのが分かる気がする。うちらも3試合やったけど、ボールが見づらいと言っていたもん。天然芝からアンツーカーになる部分とか。DHないのも大きいよ。投手はシーズンで打席がないからアウトをあげるようなもの」
このポストシーズン、工藤監督の積極的な采配が目立った。
「4年目というのもあるのか。松田を外したり、内川を外したり、選手の力量とか把握できているのでは。継投も全てはまっているし。3回日本シリーズ出て、短期決戦を戦った回数が多いから」
打撃に注目が行きがちだが、守備も勝敗を分けた。
「守備で大きいプレーがあったよな。上林の2つの補殺など。先制されていれば、全部負けていた。相手にとって貴重な点を阻止した。打撃、打撃といいながら守り勝ったというのはあるよ。甲斐の肩もな。今や甲斐の取材ばっかりよ」
2年連続で日本一を達成したが、強調するのは西武に6・5差をつけられて、リーグ2位に終わった事実。
「日本一というよりも、日本シリーズの勝者という位置づけ。やっぱりリーグ優勝して、勝ってこそ日本一。今年の優勝はあくまで西武であるということを、忘れてはいけないね」
☆いやいや、やはり気になるようで、よく見てらっしゃいます。今季限りで退任、来季はどこの球団のユニホームは着ないとか。カープ対策は、達川さんが中心になってやったんでしょうね。
☆さて、お次は、FAの話。
◇広島・丸、FA宣言か 球団は異例の対応…宣言残留認める 11/4(日) 9:47配信 サンケイスポーツ
広島・丸佳浩外野手(29)が、国内フリーエージェント(FA)権を行使する可能性があることが3日、分かった。
球団幹部は「選手の権利。他球団の評価を聞きたいのなら、聞いてみてもいい。チームにとって大事な選手なので残ってほしい。出せる金額は限られているけど、誠意は尽くす」とFA宣言残留を認めて待つ姿勢であることを明かした。
丸は昨季セ・リーグの最優秀選手に輝き、今季も4月に右太ももを痛めて約1カ月離脱したが打率・306、39本塁打、97打点で優勝に貢献した。広島ではこれまで、FA権を行使しての宣言残留は基本的に認められていなかったが、欠かせない戦力であることから異例の対応を取る。
試合後、丸は「今のところは何も決まっていない。期間もあるのでしっかり考えたい」と話すにとどめた。日本シリーズでは6試合で打率・160、12三振と不振だったが、巨人や丸の出身地・千葉が本拠地のロッテなどが獲得調査を続けている。
◆丸との残留交渉について広島・鈴木球団本部長 「これまでも話はしてきた。これからも機会があれば話はします」
☆マスコミの論調は、とりあえず宣言はするだろう、という感じ。
◇【広島】丸、慰留へ4日にも複数年提示 松田元オーナー「最大限引き留めないと」 11/4(日) 5:02配信 スポーツ報知
広島が、8月に国内フリーエージェント(FA)権を取得した丸佳浩外野手(29)と、早ければ4日にも残留に向けた交渉を行うことが3日、分かった。松田元オーナー(67)は「FA宣言? することは問題ない。FA権は選手の権利だと思っている」と話す一方、リーグ3連覇の立役者として高く評価。「チームの核。当然、最大限引き留めないといけない」と複数年契約も視野に残留に全力を注ぐ構えだ。
丸を巡っては、すでに巨人とロッテが本格調査に乗り出しているが、権利行使について、丸は「今はまだ、何も考えられない」と話すにとどめている。6月に国内FA権を取得した松山竜平外野手(33)も態度を表明していない。
外国人選手ではクリス・ジョンソン投手(34)、ヘロニモ・フランスア投手(25)、サビエル・バティスタ外野手(26)、アレハンドロ・メヒア内野手(25)とは来季契約を結ぶ方針。首の検査で一時帰国しているブラッド・エルドレッド内野手(38)をはじめ、ジェイ・ジャクソン投手(31)、ジョニー・ヘルウェグ投手(30)、レオネル・カンポス投手(31)は流動的な状況。
☆ま、選択としては「カープの丸」か、選手としての丸を考えるか、という感じでしょうか。今季かなりの好成績を残したし、来年30歳、FAを考えても不思議ではない。
☆一方で、これから脂の乗る時期、カープの中心選手として野球人生を過ごす、というのも、アリ。まだ日本一も達成してませんし、カープだからこそ、丸が生きるとK.Oは思うんですけどね。
☆ま、まだ本人も迷ってるんだと思います。
◇広島・松山はFA行使せず 11/4(日) 9:46配信 サンケイスポーツ
SMBC日本シリーズ第6戦(広島0-2ソフトバンク、ソフトバンク4勝1敗1分、3日、マツダ)今季、国内FA権を取得した松山は権利を行使しない方針だ。試合後、近日中にも球団と話し合うことを明かし、「ちょっと時間があるので、しっかり考えていい返事ができるように。(悔しさを晴らしたいかを問われ)もちろんありますね」と話した。今季は11年目で初めて規定打席に届き、打率・302、12本塁打、74打点。球団幹部も「必要な戦力」と評価している。
☆ま、松山の場合、FAして得になることはあまりないと思います。多分しないんじゃないでしょうか、まだ分かりませんけど。
☆お次は、外国人の去就。
◇広島4連覇へ助っ人再編 ジョンソンら残留確実 中継ぎ陣&エルドの去就は未定 11/4(日) 6:45配信 スポニチアネックス
広島はリーグ4連覇を目指して外国人選手の再編に入る。
今季11勝を挙げて来季が3年契約の最終年となるジョンソン、6年契約の3年目となるバティスタとメヒア、救世主的な貢献度で6年契約の2年目を迎えるフランスアの4人は残留が確実。今季途中に加入したヘルウェグ、ジャクソン、カンポスの中継ぎ陣と、首の検査のため米国へ一時帰国中のエルドレッドは未定。
☆エルさん、どうなりますかね~。ジャクソンも、どうなんでしょう。新外国人次第ですかね。
☆一方、ベテラン勢。
◇広島・永川が現役続行「日々、上手になる自信ある」石原はチーム最年長に 11/4(日) 6:00配信 スポニチアネックス
広島・石原慶幸捕手(39)、永川勝浩投手(37)は来季も現役を続行する。
石原は今季58試合に出場。新井の現役引退で、来季はチーム最年長としてチームをけん引する。永川は、左膝手術から復帰して743日ぶりに1軍登板するなど、今季22試合で2勝0敗、防御率4・82。「契約する限りはチームの戦力になるように頑張りたい。日々、上手になる自信はある」とコメントした。
☆この辺の年齢になってくると、体が動くかどうか。永川さんはストレートはまずまず走ってましてが、スライダーが微妙でした。経験はありますし、ここぞという時にリリーフ陣を助けてくれる存在になってほしいですね。
☆さておしまいは新井さん、まずはこの人のコメント。
◇泥まみれ…新井が広島に戻った最大の意味/黒田博樹 11/4(日) 8:13配信 日刊スポーツ
<SMBC日本シリーズ2018:広島0-2ソフトバンク>◇第6戦◇3日◇マツダスタジアム
広島新井貴浩内野手(41)が、20年間のプロ野球生活に幕を下ろした。日本シリーズはソフトバンクに1勝4敗1分けで敗退し、新井の現役ラスト試合となった。最後となった打席は8回先頭の代打で遊ゴロだった。34年ぶりの日本一で、引退の花道を飾ることはできなかった。
◇ ◇ ◇
三振だけはするなよ。新井の打席を、そんな思いで見ていた。新井の出番はどこで来るのか。チャンスでの代打ならいいけれど。そう思って試合を見ていた。抑え込まれている流れを変えようということか8回の先頭で打席に入った。しかし結果は遊ゴロ。安打は出なかったが一塁まで一心不乱に走る姿を見ていた。
日本一で引退になれば最高だった。しかし、そんなにうまくはいかない。ソフトバンクは故障者が出ても、それを補って勝った。底力があった。勝つものがいれば、負けるものがいるのが勝負の世界。それでも引退が決まっているのに最高の舞台で戦力としてベンチに入っていたのは本当に幸せなことだと思う。
観客が少なかった広島市民球場時代、さらに阪神に移籍していたことを考えれば、この満員のマツダスタジアムで、日本シリーズで、選手としての最後を迎えられるとは新井本人も予想もしていなかったことではないだろうか。
25年ぶりに広島がリーグ優勝した一昨年。ボクも本当は日本シリーズが終わってから引退を表明するつもりだった。でも「ファンが最後の姿だと分かって黒田さんを見たいんじゃないですか」と言ってきたのは新井だった。そう思って、シリーズ前に引退を明かした。
長い時間を彼と過ごしてきたが本当にじっくり話すようになったのは03、04年ぐらいからだろうか。新井が主砲、ボクがエースと言われるようになったころだ。どうしたらチームを強くできるか。どうやったらカープが強くなるのか。そんなことを話しながら酒を飲んだものだ。
ともにFAでチームを離れたが広島に戻ってきた。復帰は同じ14年のオフ、15年のシーズンだった。彼が復帰を迷っているようなので「お前のプレースタイルはカープに絶対、合う。チームが声を掛けてくれてるんだったら戻るべきだ」と言った。
広島に戻ってきたこの4年間の新井は泥まみれになってがむしゃらにやっていた。40歳前、そして40歳を超えた体であれだけやったのはすごい。若い選手たちは、今は体も動くし、思うようにプレーもできるだろうし、その状態はまだよく分からないだろう。でも自分が40歳近くになったとき、新井のこの4年間の姿を思い出してほしい。
新井がいなかったらボクも復帰して活躍できなかっただろうし、リーグ3連覇もなかったと思う。だけど彼が広島に戻ってきたことの最大の意味は若手にあの姿を見せたことだと思う。今はお疲れさんという言葉しか浮かばない。(元広島投手・黒田博樹)
☆同じ年にカープに戻ったのは偶然ですが、偶然とは思えない。
◇元広島・黒田氏、引退の新井さんに感謝「かけがえのない戦友」 11/4(日) 9:30配信 スポニチアネックス
2015年に新井とともに広島に復帰し翌16年のリーグ優勝に大きく貢献した黒田博樹氏(43)が3日、20年のプロ野球人生を終えた新井貴浩内野手について語った。
大声援の中で代打に立ち、最後は一塁守備にも就いた。明日も戦う。表情には意欲がみなぎっていた。予想通りだった。その姿勢こそ、個人よりもチームを優先した新井の生き様だ。ゲームセットの瞬間まで、自分個人のことで感傷的にはならないと思っていた。
あれは確か13年前。ともにタイトルを獲り「オレは投手を引っ張る。お前は野手を引っ張れ」と言ったことを覚えている。チームは同じ方向を向き、投手と野手に溝があってはいけない。彼とは野球観が一致していた。
互いに厳しい環境で生き抜き、復帰して迎えた初のキャンプ。8年ぶりに見た新井は、以前の新井ではなかった。古巣に戻ることに後ろめたさがあったのか、どこか小さくなった印象だった。開幕後には、しかし、昔の新井に戻っていった。
ボク自身、うれしかった。当時の一塁候補はグスマン。新井がもし、オープン戦で結果を残さなかったら、2軍に落とされていたかもしれない。05年に本塁打王を獲った時もしかり。すべて彼が結果を残し、自分の力で勝ち取った地位だ。本当にスゴいと思う。
本拠地のトレーナー室。ベテランと呼ばれる年齢になると、得てして入り浸りになりがちだが、彼は自分を律し、必要な時にしか受けなかった。無論、マッサージは大事だ。ただし、年長者が独占するとチームに悪影響を及ぼす。間違った方向に行かないよう、自分を常に客観視する力を持っていた。
この4年間、新井が行動や背中で示してきたことを、若い選手はどう見ていたのか。30歳、あるいは40歳近くになって体が動かなくなり、思うプレーができなくなった時、姿を思い出してほしい。彼が覚悟を持って古巣に戻った意味がそこにある。願わくば、こうした姿勢がチームの伝統になればと思う。
必死に戦ってきた旧広島市民球場時代。空席が目立つガラガラの三塁側スタンドが日常だった中で、新井とボクは、強くなりたい、たくさんのお客さんの前でプレーしたい、いつか優勝したいと語り合ってきた。彼は、ボクにとってかけがえのない戦友だ。
時は流れ、満員のマツダスタジアムで、しかも日本シリーズで最後の打席を迎えることができる。真剣勝負で終えられる。こんな大団円、当時は想像もできなかった。ボク自身もそうだったが、新井にとっても幸せな野球人生だったと思う。
☆かつてのエースと、4番。勝ちたいという思いと、カープへの思いがあったからこそ、2人とも帰ってきたし、若いカープというチームを優勝させようと尽力し、そして実際、見事リーグ3連覇を達成するまでに、チームを成長させました。
◇広島・新井独占手記 二度と戻れないと思ったカープ “弟”たちと最高の4年間 11/4(日) 8:00配信 スポニチアネックス
◇SMBC日本シリーズ第6戦 広島0―2ソフトバンク(2018年11月3日 マツダ)
広島は3日、ソフトバンクとの日本シリーズ第6戦(マツダ)に0―2で敗れて4連敗を喫し1984年以来、34年ぶりの日本一には届かなかった。今季限りで現役引退する新井貴浩内野手(41)は8回に代打で出場したが遊ゴロに終わった。20年間のプロ人生に終止符を打ち、本紙に独占手記を寄せた。
最高の舞台を最後にユニホームを脱ぐことができた。こんなに幸せな野球人生はない。今回と同じように引き分けから始まった32年前の日本シリーズ、当時は小学4年生のカープファンだった。第8戦に敗れた後、引退する山本浩二さんが胴上げされた光景を覚えている。同じように…とは思わない。ただ、完全燃焼できたと胸を張って言える。やり残したことは何もない。
後輩たちには感謝しかない。この6試合。勝敗を超えて素晴らしい戦いだった。ベンチから応援する時間が多くても、一緒に戦えたことが誇らしい。みんな2年前の日本シリーズから成長し、本当にチームとして一つにまとまった。誠也は自分が打った時だけでなく、チームメートが打った時も全身で喜びを表した。初めて4番を任され、自分のことで精いっぱいだった昨季とは違う。ひと回りも、ふた回りも大きくなった。みんな自慢の後輩たち、自慢の弟たちだ。日本一の夢は弟たちに託したい。きっとやってくれる。
すべての人との出会いに感謝したい。入団当時は駒大の先輩で大下剛史さんがヘッドコーチだった。厳しく指導された。だから、いまがある。歴代の監督にも感謝しかない。山本浩二さんには迷惑ばかりをかけた。金本知憲さんには若い頃はかわいがってもらって、どこ行くにも一緒だった。不振で一番落ち込んだ時に打撃を教えてくれた。
そして、黒田博樹さん。自分にないものを持っている。プロとしての厳しさであり、プライドだ。実績を積んだメジャーから帰ってきても全く変わっていなかった。だから格好いい。ぶれない。自分をしっかり持っていて、どこにいこうが流されない。
野球の神様はいる…と信じてやってきた。中学でも高校でも大学でも自分よりもうまい選手はたくさんいた。長所は何か…と考えた時にへたくそでも、とにかく一生懸命やる、全力で何事も取り組むしかないと思った。プロである以上、結果は大事だ。同時に結果が全てではないとも思う。だから、20年間を振り返った時に誇れるのは数字や記録ではない。どんな時も一生懸命にやるという原点だけは忘れなかった。
もう二度と戻れないと思ったカープで最高の時間を、それも4年間も過ごすことができた。復帰後最初の打席では罵声を覚悟した。なのに…。あの大歓声はいまも胸に残る。もうユニホームを脱いでもいいとさえ思った。それほど大切な宝物をもらった。ファンの方には感謝以外ない。本当にありがとうございました。(広島東洋カープ内野手)
☆出場機会を求めて阪神を自由契約となり、カープに声をかけられてカープに復帰し、MVPを獲得するほどの大活躍。チームにも多大な影響を与えました。阪神時代とは違い、チームの勝利に貢献するそのバッティングスタイルは、まさにカープ野球の象徴。
◇新井さん 最後は一人一人と握手で別れ「カープは家族のようなチーム」 11/4(日) 8:00配信 スポニチアネックス
◇SMBC日本シリーズ第6戦 広島0―2ソフトバンク(2018年11月3日 マツダ)
最後の瞬間を広島・新井は打撃用手袋を着け、バットも携えてベンチ最前列から見つめた。「行く準備はしていた。最後まで諦めていなかったから」。
8回先頭で代打登場し、遊ゴロ。9回からは今シリーズ初めて一塁守備にも就いた。日本一に届かないまま終えた20年間。「悔しくないと言ったらうそになるけど、それ以上に“ありがとうございました”という気持ち」。
ロッカー室では後輩一人一人と握手を交わした。「カープは家族のようなチーム。これから入ってくる選手にも引き継いでいってほしい」。涙はない。未来を託し、ユニホームを脱いだ。
☆バッティンググローブを付け、前に乗り出して声を出していた新井さんの姿は、誰よりも頼もしく見えました。あの心の強さを受け継いで、来季は覇気のあるプレーで、是非日本一を勝ち取ってほしいですね。
9回、守備につき、一塁ベースに触れる新井
P.S. 今日もたくさんアクセス・クリックを頂きました。本当にありがとうございます。
にほんブログ村
source : K.Oのカープ・ブログ。