2015年5月7日木曜日

喪失感

バルデス、又吉、福谷の心の傷は少しは癒えただろうか。

今朝胸に手を当てて確認してみたのだが、筆者の心の傷はあまり癒えていないようである。どんな敗戦であろうと1敗は1敗、首位だった巨人が最下位広島に3タテされて2.5ゲーム差であり、残り試合数を考えれば悲観しすぎる状況ではない。

しかし部外者であるにも関わらずこの喪失感はなんだろうか。日本シリーズ再試合でロッテに負けた時や落合監督最終年ソフトバンクに負けた時に匹敵すると言うのは言い過ぎだろうが、しかしチームが置かれた状況を考えると不思議なほどの喪失感である。とすれば、当事者である又吉や福谷の精神状態を察するに余りある。プロ野球選手たるもの、筆者のような薄弱な精神力ではないと思うが、しかしそれでも昨夜は眠れなかったのではあるまいか。そうでなければマウンド上であそこまで動揺することはないだろう。


昨日、監督は賭けに出たのだと思うが、賭けたものが大きすぎた。バルデスの初勝利、アウェーでの勝ち越し、借金返済、前回9回2死から火だるまといったものが掛かってなければ、甲子園で2死1塁という場面からあそこまで乱れることはなかっただろう。経験豊富な監督ですら、「連続ホームランの事を言われずプレーに集中できる」と言っていたぐらい、何かが賭かるという状況は無駄な重圧となる。昨夜そのジンクスを破り損なったのは大変惜しかった。

特にバルデスは試合後も大人のコメントを残したように、できた人物であるように思われる。大野がコメントで持ち上げたこともあったように、チーム内でも「バルデスに勝たせたい」という思いが強かったのだろう。1点までなら同点、という心境にはとてもなれなかったことがストレスになったのではないかと思われる。


改めて一球速報で確認してみると、殆ど外一辺倒の中、マートン・関本は最後の球を内側に外している。外と思わせて内を突かれて手が出ない、と言うシーンを良く見るが、裏をかいて見逃させるというのはストライクでないと駄目であり、福谷・又吉には酷なリードだったと思う。確率で言えばど真ん中を狙って投げた方が良かったかもしれない。しかしこれを乗り越えろという監督からの叱咤激励だと思って記憶にとどめて貰いたい。


采配についていろいろ意見があるが、バルデスを続投させたのは勝ちにこだわったからであり、福谷にスイッチしたのは先を見据えた投資であり、又吉への交代は勝ちたかったからであると思われる。正しかったかどうかというのは結果論のためなんとも言えないが、方針が左右した感はある。このあたりははっきりさせておかないとチームの戦い方に影響がある可能性もあるため、2日の休みも利用してうまく整理しておいて貰いたい。

落合監督時代にも、日本シリーズの継投で高橋か誰かが間違って出てしまい、結果岡本が打たれて負けたことがあった。岡本、高橋というのは記憶が曖昧であるが、落合監督はベンチのミスで負けたというような説明をしたような記憶がある。裏で何があったのかは分からないが、不協和音としないために消化しておくことが重要であっただろう。

これ以外にも落合監督は、岩瀬で負けたら仕方ない、英智が落としたなら仕方ない、と自分が信頼して起用した選手が結果的にミスをしても前向きに受け止めていたように思う。指揮官のぶれない姿が選手に安心感を与える作用もあり、谷繁監督にはなんとかこらえて頑張って貰いたい。勝ちたい思いが強すぎて方針がぶれすぎたりコロコロと選手を代えるようになってしまっては晩年の山田監督と同じである。余談ながら昨日荒木のタイムリーにおける阪神外野手のバックホームは全盛期の藤井をほうふつとさせる投げっぷりであった。


さて、これにくじけることなく来季も頑張って貰いたい、と締めくくりそうになるが、しかし今季もまだまだこれからである。今年は上下の差がなく、チャンスのあるシーズンであり、1人や2人の選手が欠けても戦えないわけではなく、その意味で福谷や又吉と心中する必要はない。ここまで来たら当初の構想はあきらめ、目先の試合に勝つためには誰を起用するべきか、と考えながらやっていく中で誰か出てくるのを待てばよいのではないだろうか。

まずは秋田シリーズ、まだ寒いかもしれないが怪我をしないように頑張って貰いたい。




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source : シリコンバレーからドラゴンズを語る~GM編~