2015年12月26日土曜日
1986と、2015。
☆さて今日は、こんな記事から。
◇不安定だったリリーフ陣で明暗。86年Vと同じチーム防御率2点台も4位に終わったカープ ベースボールチャンネル 11月27日 7時0分配信
◆86年は防御率2.89で優勝を果たし「投手王国」と呼ばれた
昨年はクライマックスシリーズに進出、今季は黒田・新井らが復帰し、開幕前はセリーグの優勝候補と目された広島東洋カープ。しかし、優勝はおろかAクラスさえ逃し、クライマックスシリーズ進出も果たすことができなかった。
黒田博樹が8年ぶりに復帰し、前田健太との両輪で先発陣に不動の柱ができた。新外国人のジョンソンは開幕から安定した投球をみせ14勝、5年目の福井優也は自己最多の9勝を挙げた。
チーム防御率はリーグ2位の2.92。2点台の防御率は、1986年に阿南準郎監督が指揮を取りリーグ優勝を遂げたあとは、2012年に一度あっただけである。
2015年、2012年、1986年のカープ、主な先発3投手の成績を比較してみた。
2015年
前田健太 29試合 15勝8敗(最多勝)防御率2.09
ジョンソン 28試合 14勝7敗 防御率1.85(最優秀防御率)
黒田博樹 26試合 11勝8敗 防御率2.55
2012年
前田健太 29試合 14勝7敗 防御率1.53(最優秀防御率)
野村祐輔 27試合 9勝11敗 防御率1.98
大竹寛 24試合 11勝5敗 防御率2.36
1986年
北別府学 30試合 18勝4敗(最多勝)防御率2.43(最優秀防御率)
金石明仁 26試合 12勝6敗 防御率2.68
川口和久 24試合 12勝9敗 防御率3.00
12年も前田が投手陣の中心にいた。防御率1.53で最優秀防御率のタイトルを獲得し、ルーキーの野村祐輔が防御率1.98で新人王を獲得している。この年のチーム防御率は2.72ながらリーグ4位の成績(優勝した巨人が防御率2.16でリーグ1位)で、4チームが2点台というレベルの高さだった。
背景には、いわゆる“飛ばないボール”が導入されていたため、投手にとって有利なデータが反映されたと考えられる。防御率が2点台であっても、打線が全く振るわず今季と同じ4位に終わった。しかし、エース前田の成績だけは、当時から群を抜いていたといっていい。
ちなみに86年のチーム防御率はリーグ1位の2.89。その中心にいたのが、当時プロ11年目の北別府学だった。この年18勝4敗の成績で最多勝、防御率は2.43で最優秀防御率のタイトルを獲得している。
さらに、4年目の金石明仁が12勝6敗、防御率は2.68で北別府に次ぐリーグ2位の成績を挙げた。その他、川口和久が12勝、ルーキーで10勝を挙げ新人王を獲得した長冨浩志もいた。
先発の後を受けるリリーフについてはどうか。こちらは15年と86年を比較してみた。
2015年
中崎翔太 69試合 0勝6敗 29セーブ 防御率2.34 被打率0.243
大瀬良大地 51試合 3勝8敗 2セーブ 防御率3.13 被打率0.256
ヒース 43試合 3勝6敗 4セーブ 防御率2.36 被打率0.238
一岡竜司 38試合 2勝4敗 1セーブ 防御率4.14 被打率0.280
1986年
津田恒実 49試合 4勝6敗22セーブ 防御率2.08 被打率0.186
86年の抑えには、この年初めてストッパーを務めることになった津田恒実がいた。49試合に登板し、4勝6敗22セーブ。「炎のストッパー」と呼ばれるようになり、まだ分業制が確立していなかった時代に“絶対的守護神”として君臨した。
また津田につなぐ白武佳久、川端順、小林誠二、清川栄治ら中継ぎ陣も充実していた。
津田の特筆すべき点は、0.186の被打率。マウンドに上がれば、相手打者は2割も打つことができないということになる。
今季のリリーフ陣はすべて2割台の被打率。安定感に欠けていた。特に2点差以内で勝利を挙げたのは32試合で、優勝したヤクルトが40試合だったことを考えると少ない数字だ。
◆先発が試合を作っても勝負所で勢いに乗れなかった2015年
充実した先発陣で「投手王国」を築いた1986年。打線に目を向けてみると衣笠祥雄や山本浩二に衰えがみられ、チーム打率は.254でリーグ4位だった。しかし、優勝争いが佳境を迎える9月と10月に21勝8敗という抜群の成績を挙げ、首位・巨人を逆転で追い抜く。10月2日の試合から8連勝しそのままゴールテープを切った。結果的にゲーム差なしでの優勝を果たしたのだ。
今季の広島もチーム打率がリーグ5位の.246(昨季はリーグ2位の.272)と打線は低迷。得点圏打率も.235でリーグ最下位だったことを考えれば、打線に関しても1986年と状況は似ている。
ただし違う点は、負けられない試合が続く終盤の優勝争いで力を発揮できなかったことだ。
今季の広島は、9月と10月を14勝12敗2分と勝ち越し。引き分けを挟んでの5連勝もあったが、その後は3連敗、4連敗となかなか勢いに乗ることができなかった。僅差での試合に弱く、勝負所での弱さを露呈してしまったことも、優勝争いから脱落する要因となってしまった。
◆去就が注目される、先発の柱
巻き返しを期す来季。しかし現在カープファンにとって大きな心配事が二つある。
ジョンソンの残留は決まったが、前田は24日にポスティングシステムでのメジャー移籍を球団に直訴した。また黒田の去就も明らかにされていない。
今季の前田は、QS(クオリティースタート)と呼ばれる、先発した投球回数が6回以上で自責点3点以内に抑えた試合が26試合、QS率が89.7%とリーグ1位だった。
続いて2位だったのがジョンソンで24試合。QS率は85.7%だ。黒田はというと、こちらも20試合で6位。QS率は80.0%で、広島の3投手はすべて好成績を挙げている。
QSは打線の援護に左右されることなく、純粋に投球内容の質を表した数字である。
例えば、143試合目でCS進出を逃した10月7日(対中日 マツダ)の試合。先発の前田は7回6安打無失点、自責点0と好投した。打線が前田を援護できずにわずか1安打、後をついだ大瀬良が中日打線につかまって完封負けを喫した。前田に勝ち星は付かなかったがQS率は高くなる。
現在のところ外国人選手の獲得とドラフト以外、ここまで目立った補強はない。
来季は大瀬良が先発に再転向する構想が報じられているが、前田・黒田次第では投手陣の編成を根本的に見直さざるを得ない状況になる。
☆1986年を、もう少し詳しく見てみましょう。
▽1986年 投手成績
北別府 学 30登板 18勝4敗 防2.43
MVP 最多勝 最優秀防御率 沢村賞 最高勝率
川口 和久 24登板 12勝9敗 防3.01
金石 昭人 26登板 12勝6敗 防2.68
長冨 浩志 30登板 10勝2敗2S 防3.04
新人王
大野 豊 15登板 6勝5敗 防2.74
白武 佳久 24登板 4勝6敗 防3.78
川端 順 32登板 3勝3敗2S 防2.41
小林 誠二 33登板 3勝1敗2S 防3.77
清川 栄治 50登板 0勝0敗1S 防2.55
津田 恒実 49登板 4勝6敗22S 防2.08
▽1986年打撃成績
捕手 達川 光男 率.274(416-114) 9本 46打点
一塁手 長内 孝 率.254(421-107) 19本 58打点
二塁手 正田 耕三 率.288(219-63) 1本 11打点
小早川 毅彦 率.260(173-45) 12本 24打点
三塁手 衣笠 祥雄 率.205(477-98) 24本 59打点
木下 富雄 率.208(144-30) 1本 9打点
遊撃手 高橋 慶彦 率.284(552-157) 21本 55打点
左翼手 山本 浩二 率.276(439-121) 27本 78打点
小川 達明 率.323(65-21) 2本 12打点
中堅手 長嶋 清幸 率.268(482-129) 12本 54打点
右翼手 山崎 隆造 率.275(491-135) 7本 43打点
☆投手陣は、北別府が最多勝・最優秀防御率・最高勝率で、沢村賞にMVPと、まさにエースの活躍。川口・金石・長富と、10勝投手が4人。他に右は白武・川端・小林、左に大野・清川。大野さんはこの時は先発でした。中継ぎは、清川・小林の存在が大きかったですね。
☆打撃陣では、衣笠さんが大不振。山本浩二さんも、この年で引退。
◇1986年
阿南準郎が監督となる。阿南は「『山本浩二監督』実現までのつなぎ」と言われたが、就任1年目にリーグ優勝。レギュラーが固定され不動のオーダーと言われた。北別府が投手部門のタイトルを総なめ。長冨浩志が新人王。日本シリーズでは西武ライオンズと対戦し初戦引き分けの後3連勝、その後4連敗。史上初の第8戦まで縺れ込んだが3勝4敗1引き分けで敗退。
前年とこの年はチームに外国人選手は在籍しておらず、スターティングメンバーも「純国産打線」であった。またこの年限りで、長年チームの4番を務めてきた山本浩二が引退し、1990年代前半までチームは4番不足に悩まされるようになった。(Wikipedia『広島東洋カープ』)
☆一方で、高橋慶・山崎は30歳前、また正田は2年目。長嶋・小早川と「ポスト山本浩・衣笠」を担う選手も出てきます。小早川は、セカンド・サードを守ってました。
☆総じて投手陣・野手陣ともに、大物揃いというよりは、粒揃い、といった印象。外国人もおらず、成績が突出しているのは北別府ぐらいで、チームバランスで勝った印象の強いチーム、と言えると思います。
☆ただ、先発陣・抑えがしっかりしていること、衰えたとはいえ、山本浩・衣笠の主力が中心にいること、高橋慶・山崎始め、レギュラー陣がしっかり堅実な働きをしていることで、チームとして穴の少ない、バランスの取れたチームであったことは、強さの要因だと思われます。
☆さて、翻って、今年のカープ。
◇戦力活用できず、4位に終わったカープ。先発陣は目処立つも勝利の方程式確立が課題【2015年通信簿】 ベースボールチャンネル 12月25日 7時30分配信
◆サードが固定できず
【野手3点】(最高点が5点)
菊池・丸がチームリーダーに指名され、新時代到来のシーズンとなるはずだった。
周囲の要求水準は高くなったが、菊池は、疲労の蓄積などもあり体調面で万全とは言えなかったものの、全力プレーとスピードを全面に押し出す姿勢を怠らなかった。
丸も、相手投手のマークが厳しくなる中での全143試合出場は立派である。
課題はサードであった。シーズン前半は、ベテラン梵を効果的に起用したが、後半は固定できず。ただ、来季は新打法の堂林と、新外国人ルナのポジション争いは高いレベルになりそうで、一定のメドはついたと言えよう。
◆大瀬良のリリーフ配置転換で先発ローテにも影響
【投手4点】
前田健太、黒田、ジョンソンの三本柱に福井の台頭が加わり、先発陣はリーグトップクラスの充実ぶりであった。
来季は、前田健太がメジャーへ移籍することがほぼ確実。しかし大瀬良の先発復帰を首脳陣は明言しており、そこに野村祐輔が持ち味を取り戻せば、先発陣はおおよその目途がつくはずだ。
課題はリリーフ陣か。中崎の台頭に救われたものの、シーズン終盤まで、勝利の方程式を確立できなかった。
外国人での補強が成功するかが大きなポイントであり、一岡・中田の経験組の復活とルーキーの起用法に注目が集まる。
◆二軍も含めて戦力のはず。来季はどう活用できるか
【ベンチワーク2点】
リリーフ陣の起用に課題が残った。
特にシーズン途中での大瀬良の中継ぎ転向は論議を呼んだ。また大瀬良が抜けたことにより、そこから先発ローテーションも固定されたものではなくなっていった。
開幕当初、ストッパーはヒースが務める構想はどうだったのか? 能力の高い投手だけに、彼の力を引き出し切れなかったことは悔やまれる。
一方、二軍は春先から快進撃を見せていたが……下水流の長打力、赤松の脚力、左腕のザガースキー、ベテランの廣瀬など、カープにはまだまだ活用できる戦力があったようにも感じる。
【総合3点】
シーズンの観客動員は200万人を突破。優勝候補にカープを挙げる野球評論家は少なくなかった。世代交代も順調に進んでいるようには見えた。
それだけに、今年のBクラス転落に落胆の声は大きい。
ファンサービスの充実、スタジアムの魅力、ファンの熱さ、全国区の人気を誇るようになっているだけに、早期のV奪回が望まれる。
☆野手陣。エルさんの出遅れ、菊・丸の不調の他、会沢あたりにも当たりが出ず、打線がなかなかつながりませんでした。新井さんが頑張りましたが、外国人も入れ替わり立ち替わりで、なかなか打線を固定できず。連勝も何度かあったのですが、それ以外は、基本的に1勝2敗ペース。また連勝したと思えば連敗するなど、なかなか貯金を増やすことができませんでした。来季は、勝負強い打線のつながりを期待したいところ。
☆投手陣。大瀬良くん・セットアッパー、そして抑えのヒースと、働くべきピッチャーが働けませんでした。起用法も確かにうまかったとは言えませんが、そもそも各ピッチャーが役割を果たせなかったことが、開幕のつまずきの要因。キャンプ・オープン戦に問題があったのか、チーム作りなのか。その辺は来季につなげなきゃいけませんね。
☆ベンチワーク。思うに、今年の緒方監督は、先を見据えてチームの土台を作らなきゃいけない、という思いが強かったのではないでしょうか。誠也くんが将来の主力になるであろうことは、誰もが認めるところですが、野間くん・誠也くんは、最後まで1軍で使い続けました。それは、開幕前から決めていたことなのかも知れません。
☆投手陣も、一岡くん・ヒースと後ろのピッチャーが打たれ、大瀬良くんが先発で勝てなかったことから、抑えを中崎くんに、大瀬良くんをセットアッパーに起用。その彼らも当初は打たれたりして、チームが波に乗れませんでした。この辺も、開幕前の準備に問題がありそう。
☆総じてK.Oは、シーズン中の采配云々以前に、チーム作りの段階で、チームをうまくまとめられなかったんじゃないか、という気がしています。
☆ま、若手が多く、黒田さん・新井さんも、帰ってきて1年目、緒方監督も1年目。ある意味、仕方のない部分はあったと思います。
☆来季は緒方監督も2年目。ルーキーや新外国人が加わり、また新たなメンバーでスタート。先日お話した通り、外国人勢は今年に比べ、最初から意図のはっきりした、バランスの取れたメンバーとなったと思います。岡田くん・横山くん始めルーキーも楽しみですし、少なくとも今年とは違った戦い方になるのではないかと。
☆セットアッパーの整備、先発の頭数、打線のつながり。そして、新外国人やルーキーなど、新戦力の活躍。マエケンはいなくなりましたが、「チーム力」で戦っていけば、今年以上の戦い方ができるはず。
☆それには1986年のように、突出した選手はいなくても、粒揃いのチームを作ること。それぞれがそれぞれの役割を、きちんと果たすこと。キャンプ・オープン戦が勝負です。
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source : K.Oのカープ・ブログ。