2016年1月1日金曜日

【年末特集】2015年 カープ・ゆく年くる年。


◇黒田博樹の「男気」に染まった広島。後はポスト・マエケン問題だけだが……。 Number Web 12月30日 17時11分配信

◆2015年の反省と2016年の希望――。

 Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の短期集中コラムシリーズです。年末年始にかけて、全12球団の2015年の振り返りと2016年の夢を、チームへの思い入れたっぷりの筆致でお伝えいたします!

 第6回目はエース前田健太がメジャーに旅立ち、黒田博樹が残留発表した、広島東洋カープです。


 安心してください、続けますよ――。

 '14年年末の復帰発表に続き、'15年の年末にも広島ファンを喜ばせるニュースが飛び込んできた。「黒田、現役続行」。ポスティングシステムで大リーグ移籍が濃厚な前田健太の流出を嘆くファンの「マエケン・ロス」を吹き飛ばした。広島の'15年流行語を決めるとすれば、文句なしで「男気」となるだろう。クライマックスシリーズ進出を逃したことで、より黒田色の強い1年となった。

 20億円前後のオファーを蹴って帰ってきた黒田にファンは熱狂した。合流した沖縄キャンプは過去に例を見ないほどの集客で、黒田が動けば皆動く状態だった。復帰後初お披露目となったオープン戦初戦で大リーグ仕込みの技を披露。公式戦初登板も、真っ赤に染まったマツダスタジアムで初白星を挙げた。打者の手元で動くカットボールやツーシームを両サイドに投げ分ける「フロントドア」と「バックドア」は瞬く間に全国の野球ファンの間に広まった。

 6月までに6勝と、大リーグの名門ヤンキースで大黒柱として信頼を集めた存在感は健在だった。だが、8年ぶりの日本でのプレーに、40歳の体は悲鳴を上げ始める。右足くるぶし付近の炎症と右肩の炎症で2度登録抹消。それでも上位進出を狙うチームで気力を振り絞った。シーズン終盤には2度、中4日で先発し、3位浮上がかかった最終戦は前回先発から中2日でブルペン待機を直訴。「最後の試合も打者1人でも行ってくれと言われれば行くつもり。少しでも力になれれば」とは、まさに男気である。


◆最終戦で号泣した大瀬良の来季は再び先発へ。

 しかしそんなシーズンも、最後は涙で終わった。

 最終戦で敗戦投手となった大瀬良大地は人目もはばからず泣いた。シーズン途中に先発から中継ぎに配置転換され、セットアッパーを務めた。手薄な中継ぎ事情もあり、複数イニング投げることもあった。慣れないポジションや登板過多により、最後は力尽きた。

 だが、最後までクライマックスシリーズ進出争いに加わることができたのは、セットアッパー大瀬良がいたからだ。'15年シーズンを見れば、大瀬良の中継ぎ転向は英断だったと言わざるを得ないだろう。

 ただ、'16年は再び先発に戻る。この決断もまた正しかったとなることを祈る。大黒柱の前田がポスティングシステムで大リーグ移籍が確実視される来季、大瀬良の先発再転向で再建のめどが立てられる。


◆マエケンが抜けた大きな穴を誰が埋めるのか。

 黒田、クリス・ジョンソン、福井優也、野村祐輔、大瀬良……。先発の顔ぶれを見れば十分他球団と渡り合えると感じるのではないだろうか。

 当然前田の穴は大きい。痛い、痛すぎる。シーズン通してローテーションを守り、206回1/3を投げて15勝。登板29試合中、26試合でクオリティースタートを達成する安定感だ。有形無形の効果をチームに与えてきた。前田の穴を1人で埋められるわけがない。

 だからこそ先述の5投手を軸に、1、2人の新戦力が台頭することが望まれる。過去、広島では黒田が抜けても前田が現れ、大竹寛(現巨人)が抜けても大瀬良が現れた。柱が抜ければ、また新しいスター候補選手が生まれるチャンスでもある。そうポジティブに考えられるのも、黒田の現役続行があったから。「マエケン・ロス」の広島ファンも、「ポスト・マエケン」誕生に夢を抱けるのではないだろうか。


◆ドラ1ルーキーの岡田は中継ぎで経験を。

 目を背けたくなる問題は、大瀬良が抜ける中継ぎ陣だろう。'15年に抑えを務めた中崎とクリスマスイヴに獲得が発表されたジェイ・ジャクソンを中心に経験のある今村猛、中田廉がどれだけ輝きを取り戻せるか。

 正直、中継ぎには不安が残る。個人的には'15年セ・リーグ優勝のヤクルトのように、外国人枠をリリーフに注いでもいいと思っている。先発のジョンソンは外せないが、助っ人野手は1人に限定し、残る2枠を中継ぎ強化に回してもらいたい。

 また、ドラフト1位の岡田明丈(大商大)も1年目は中継ぎで起用しても面白い。最大の武器は真っすぐ。多くの球種を持つが、勝負球として使える球種は少ない。まずは中継ぎとして経験を積ませていくのもアリだろう。首脳陣が望んだ「即戦力」と考えれば、先発よりも中継ぎを推す。先発にめどが立ったとはいえ、中継ぎの重要度が高まっている今、目をそらすことができない課題だ。


◆投手陣の整備は25年ぶりの優勝に不可欠だ。

 「いやいや、'15年の広島は打てなかったじゃないか」という広島ファンの声が聞こえてきそうだ。'15年も広島投手陣は奮闘した。それでもAクラス入りできなかったのは、打線の決定打不足が影響した。

 それでも、やはり野球は投手。投手力整備が最重要課題と言えるだろう。'15年に優勝したヤクルトは打力で勝っている印象も、やはり投手陣が支えていた。苦しんだ前半戦は外国人投手で構成した中継ぎ陣で勝ち試合を確実に拾い、館山昌平が復帰したことで先発陣も安定感が増した。投手陣のやりくりは25年ぶり優勝の大きな鍵を握っている。

 球団はベテラン黒田と球団最高年俸を更新する6億円で契約を更改した。日本の他球団からの外国人獲得を好まない中、中日での3年間で実績十分のルナを獲得する手堅い補強にも出た。前田が抜けたとはいえ、広島球団は優勝へ本気だ。


 【2015年】

☆黒田さんが復帰して11勝、マエケンが最多勝、ジョンソンが最優秀防御率、福井くんがローテを守るなど、先発陣の奮闘が光る一方で、大瀬良くんが勝てず、また中継ぎでは一岡・ヒースが打たれ、シーズン途中で配置転換、大瀬良くんはセットアッパーへ、抑えは中崎くんに。中継ぎが安定したことで5月以降は合計5つの貯金をするも、3・4月の借金7が響き、終わってみれば、借金2の4位。先発5番手・6番手も相変わらずなかなか現れず、4本柱頼みのローテとなりました。


☆打線は、エルさんの離脱、菊・丸や外国人勢の不調など、主力が働かず。梵も終盤に2軍落ち、期待された会沢あたりも働かないなど、打線がなかなかつながりませんでした。


☆そんな中、大瀬良くんはセットアッパー、中崎くんは抑えとして奮闘。中盤以降の躍進を支えました。また新井さんが主力としてチームを支え、田中くんはショートのレギュラーに。ルーキー野間くん・誠也くんは、年間通して1軍に。来季以降に期待が持てます。



 【2016年】

☆投手陣、マエケンがチームを去りましたが、黒田さんが現役続行。また久本さんが支配下登録に復帰。篠田・河内らが抜けました。一方新戦力は、新外国人、先発にヘーゲンズ、中継ぎにジャクソン。ルーキー岡田くん・横山くんも楽しみです。


☆野手は、何と言っても、ルナの獲得。外野手にプライディ、またルーキーはキャッチャーに船越、内野手に西川。1年目から結果を出して、どんどんアピールしてほしいところ。


☆グスマン・シアーホルツ・ロサリオが去り、東出が引退、栗原が退団と、チームは世代交代の時期に。誠也くんは間違いなく将来のカープを背負って立つ逸材ですし、野間くんの2年目も楽しみ。サードでは安部や美間くん、フォームを改造した堂林や、小窪、また梵の巻き返し、外野手では誠也くん・野間くんに加え、下水流あたりも楽しみ。


☆課題としては、投手陣、先発5番手・6番手と、中継ぎの整備。先発は野村・戸田・九里・今井・中村恭・小野あたりの争いか。中継ぎは、一岡・今村・ジャクソンあたりがセットアッパー候補。一岡・今村がいい時のピッチングができるかどうか、またジャクソンがどれだけやってくれるのか。これに中田・永川あたりが絡んでくると、面白くなります。


☆野手は、新井さん・エルさん・ルナと、主力はベテラン。年間を通して働くとは考えにくく、うまくやりくりする必要があります。新井さん・エルさんが休む時のレフト、ルナが休む時のサードには、主力級の働きが求められます。また美間・下水流、安部・上本、天谷に岩本と、1軍に手が届きそうな選手たちがどれだけ頑張るかで、チームの層が決まります。


☆カープの内野陣は、一塁新井さん、二塁菊池、三塁梵・堂林、遊撃田中と、いずれもセ・リーグトップクラスのRF(レンジファクター。守備範囲の広さ)を誇っており、リーグ屈指の内野陣と言っていい。また外野も、丸に加え、誠也くんは強肩、野間くんも守備はトップクラス。プライディも守備はいいとのことなので、エルさんに守備固めが出た時の守備陣は、相当強力。


☆菊・丸、田中くん、誠也くんに野間くんと、足を使った攻撃も、カープの野球。相手が嫌がるようなしつこい野球をして、常に自分たちのペースで試合を運ぶこと。


☆新井コーチが去り、タクローさんと東出さんが打撃コーチに。秋季キャンプから振り込み、夜には「タクロー講座」も。どれだけ技術を培っても、どれだけ知識を詰め込んでも、ボール球を振っていては何にもならないし、結局打つ時にタイミングを合わせて芯で捉えるのは「感覚」。プロとして一番大事なのは技術でも知識でもなく、試合での集中力であり、野球への取り組み方、考え方であり、精神力であり、メンタル。試合の時、肝心な時に力を発揮できなければ、何にもなりません。


☆そこが一番大事なところであり、難しいところであり、足りないところ。逆に言えば、キャンプ・オープン戦で、どうやって「勝てるチーム」を作っていくのかが、勝負になります。




☆さて。新しいスタッフ、選手で、また来季が始まります。いや、もう始まってるか。いやいや、K.Oは、来季もまた、楽しみです。




☆本年も「K.Oのカープ・ブログ。」を御愛顧頂き、本当にありがとうございました。たくさんの皆さんに御覧頂き、またコメントを頂き、本当に楽しく過ごさせて頂きました。来年こそ優勝して、皆さんと喜びを分かち合いたいと思っています。そのために、来年も一生懸命カープを応援していくつもりですので、これからもよろしくお願いします!


P.S. 今日もアクセス・クリックを頂きました。本当にありがとうございます。

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