◇転機は球界再編騒動…新スタジアム抜きには成し得なかった広島復活 スポニチアネックス 9月11日 13時22分配信
◇セ・リーグ 広島6―4巨人(2016年9月10日 東京D)
【25年ぶり鯉のぼり(1)】真っ赤なコイが25年ぶりに頂点へ上った。現12球団で最も優勝から遠ざかった苦節の日々と「赤ヘル復活」への道のりを連載で振り返る。
赤ヘル復活は2009年に誕生したマツダスタジアムを抜きには成し得なかった。転機は04年の球界再編騒動だった。カープがなくなるかもしれない―。地元で危機感が広がった。人々がすがった希望が新球場だった。
構想はずっとあった。1957年開場の旧広島市民球場は90年代から老朽化が進み、選手やファンなどからの不満の声が高まっていた。01年に一度は動き始めたかに思えた計画も事業の中心だった米商業デベロッパーの撤退で03年に頓挫した。
もう待てなかった。市民が動いた。04年11月には建設費に充てるための「樽募金」が始まった。財政難に苦しんだ球団創設期と同じように―。大人だけではない。子供たちも募金し、約1億2600万円が集まった。背中を押されるように広島市も05年に新球場建設を決定した。
参考にしたのは米国3Aの球場だった。広島は周辺市を合わせても人口約150万人。一桁多い東京や大阪とは違った。収容人数3万人超を想定し、何度来ても楽しめる空間を目指した。球団は90年代から来るべき時に備えて海外視察を重ねていた。選手の声も反映させようと現役当時の緒方孝市を米国に派遣したこともあった。
球場が山や摩天楼に溶け込む光景にヒントを得て、山陽新幹線を借景とする案を採用。日本で初めての左右非対称の形状も決めた。球場に適したレンガがあると聞いて英国に担当者が飛び、ヒントになれば…と北海道の旭山動物園も視察した。随時変化する“永遠に完成しない”ボールパーク。寝そべって観戦したり、バーベキューができる個性的な座席を備え、今年はお化け屋敷まで登場した。催しはたとえ個々が赤字でも、来場者の満足度を高めることに力点を置いた。
リピーターを呼んだ新球場で入場収入は急増した。昨年は約54億円。最も落ち込んだ旧市民球場時代の06年の約2・8倍になった。減少した放映権料に代わる活路として一足先に取り組んできたグッズ開発と販売も好調。黒田博樹の復帰に沸いた昨年は初めて入場者数200万人を突破し、売上高は球団史上最高の約148億円に達した。“カープ女子”がブームとなり、一地方にとどまらない人気が広がった。
オーナーの松田元(はじめ)は笑った。「黒田にしろ新井にしろ、旧市民球場だったら果たして戻って来てくれたかどうか」。昨冬、推定6億円で12球団最高年俸選手になった黒田は「カープだから意味がある」とかみしめた。球団活性化の証しだった。
熱烈な応援を背に今季は本拠地で45勝18敗1分け。貯金35のうち27をつくった。惜しくも地元胴上げがならなかった8日、マツダスタジアムは史上最多3万2546人の観衆で埋まった。=敬称略= (広島取材班)
◇FA、逆指名の二重苦…広島 ドラフト希望枠廃止が逆襲の契機に スポニチアネックス 9月13日 10時3分配信
【25年ぶり鯉のぼり(2)】94年の川口和久が移籍1号だった。93年導入のフリーエージェント(FA)制度。99年に江藤智、02年に金本知憲、07年には新井貴浩と4番打者が相次いでFA宣言した。
ただ、人材の発掘と育成が広島のよき伝統。江藤の後は新井、金本の後には嶋重宣が台頭し、一定の穴を埋めた。黒田博樹が抜けた08年にはコルビー・ルイスを補強し、2季で26勝。FA流出の影響は世間が抱くイメージほど大きくない。
むしろ、ドラフトだ。同じ93年の逆指名制度導入の影響は大きく、広島は大学・社会人の即戦力獲得に苦戦し、高校生の素材中心のチームづくりを余儀なくされた。オーナーの松田元は語る。「90年代はまだ80年代の余韻が残っとるから、下をうまく底上げしていけば…という気持ちだった」。確かに90~99年はAクラス6回。だが、2000年以降は遺産が底をつき、Bクラスが指定席となった。
FA制度で出口をあけられ、逆指名制度で入り口を閉ざされた二重苦。逆指名制度は01年秋に自由獲得枠、05年秋からは希望入団枠に名称を変えて存続した。ただ、後に起こる希望枠存廃議論では、広島は即戦力獲得に強い巨人、ソフトバンクとともに賛成に回り、周囲を驚かせた。
「ウチには廃止が望ましい。ただ球界のことも考えないと。12球団の会議とはそういうもの」。球団本部長の鈴木清明が当時の真意を説明する。メジャーへの選手流出危機が叫ばれていた時代。希望球団に入れなければメジャーへ…という選手が出ないよう、球界全体を熟慮しての苦渋の選択だった。
吹き続けた広島への逆風は、思わぬ形で止まることになる。複数球団で発覚した裏金問題により、07年4月に希望枠は廃止。逆襲に転じる契機となった。 =敬称略= (広島取材班)
◇広島 ドラフト“正常化”で「発掘」と「育成」の両輪形に スポニチアネックス 9月14日 7時33分配信
【25年ぶり鯉のぼり3】07年から大学・社会人の1巡目入札抽選が復活すると、広島のドラフト戦略は大きく変わった。リスクを避ける単独指名ではなく、競合を恐れず1巡目の抽選に参加。福井優也、野村祐輔、大瀬良大地ら即戦力投手の獲得に成功した。
もともと清貧を貫く広島には素質を見抜く眼力と使って育てる土壌があった。2度の日本一に輝く1980年代の繁栄は、その産物だ。有望選手獲得に裏金が動く異常な状況が解消されると、戦力増強への“両輪”は再び正常に動き始め、次第に形になっていった。
たとえば、松本有史(現役時は奉文)は地方リーグの岐阜で中京学院大の菊池涼介を見つけ、尾形佳紀は二松学舎大付で投手だった鈴木誠也の打者としての素質を早くから見抜いた。両スカウトとも“不遇”とされた時期のドラフトで入団した元選手。身を粉にし、次代の戦力になり得る素材を追いかけた。
09年に新球場が完成、企業努力で資金力が高まると、FA戦線にも初参戦した。10年オフの内川聖一。獲得はならなくても世間は“あの広島が”と驚きを持って受け止めた。「マネーゲームはしないが、本当にいい選手なら獲りにいく気持ちは常にある」。常務取締役球団本部長の鈴木清明は将来のFA補強の可能性にも言及した。
唯一親会社を持たず、独立採算制をとる球団。売上高が60億円前後で推移した旧市民球場時代、戦力補強だけでなく、資金面でも厳しい状況に置かれていた。球団存続に絶対条件の黒字化と、チーム成績を両立させるのは容易ならざることだった。オーナーの松田元(はじめ)は苦笑まじりに振り返る。
「どんな状況でも道は必ずあると思うとった。他球団がやらないことをやって、競争に勝つという気持ち。“不利だね、可哀想なチームだね”と言われる中で、証明したかったんじゃけどな」
ルール無視がまかり通っていたドラフトが“正常化”し、同じ土俵で平等に戦える環境が整った時、発掘と育成を根幹とする広島の道は再び開けた。
リーグ優勝を決めた10日の巨人戦。復帰組の黒田博樹と新井貴浩を含め、広島でプロ野球人生を出発させた先発9人が並んだ。伝統の息づく誇らしい布陣だった。 =敬称略= (広島取材班)
☆(1)、新スタジアム。広島に長らくお住まいの方はご存知だと思いますが、ズムスタは広島駅の東側にあります。広島駅南口から歩いて、15分くらいのところでしょうか。広島駅の南側というのは、長い間再開発が進まず、駅前にもかかわらず、古いビルが建ち並んだりしてました。現在エールエールA館があるところには「広島百貨店」という百貨店が、1990年代末にA館ができる直前まであり、数店しか営業していない状態で何年も放置されてました。ズムスタのある貨物ヤード跡地も、1995年から遊んだまま。
☆新球場を作るには旧市民球場の敷地では狭すぎる、ということで貨物ヤード跡地が選ばれた訳ですが、これが駅前再開発とうまく噛み合った訳です。
☆で、ここでも新球場建設を後押ししたのは、他でもない、市民。やはり広島市民はカープが大好きで、それに応えるように、ズムスタではカープは圧倒的成績を残しています。
☆ちなみに、ズムスタをもうちょっと進むと、キリンビールの工場だった所にはイオンモール広島府中が2004年に開業。また南口のみならず、新幹線口(北口)の方も、すっかり様変わりしつつあります。
☆東出が引退してコーチになり、広瀬・倉が引退、また栗原も引退。カープが新しい時代を迎えつつあるように、広島市もK.Oが住んでいた頃からはすっかり様変わりしました。それは少し寂しいことなのですが、新しい時代に期待したいと思います。
☆(2)、FA、逆指名。今でこそ「カープは嫌だ」なんていう選手はほとんどいませんが、昔は入団拒否もたくさんありました。弱小球団、しかも広島という中央から離れた土地。マスコミに取り上げられることも、ほとんどない。おまけに、給料は安い(笑)。要するに地元出身か、「プロであればどこでも」という殊勝な選手しか来てくれない(笑)。
☆また、チームが勝てないと選手は育たないもので、一流の選手が育つ一方で、ドラフト1位で獲った選手がさっぱりだったり、ドラフトで獲った選手がことごとく戦力にならない、なんて年もありました。おまけにその一流選手も、FAで流出。勝てないから選手が来ない、育たない、だから勝てない、という悪循環にはまり始めます。
☆黄金期は、投打とも素晴らしかったのですが、少なくとも打線に関しては、変に打てた分、本来の「カープ野球」を見失ってしまったところは、あったかも知れません。金本・江藤・新井とチームを去り、前田さんはケガ。とりあえず外国人に頼るしかない、という形になっていきます。
☆(3)、ドラフト。結局ドラフトも、これまでは「どうせ来ないだろうな」という遠慮が、どこかにあったのかも知れません。また選手の獲得の仕方を見ても、明確なビジョンがあった、とは言い難い。福井・野村・大瀬良・岡田と、大物選手を競合覚悟で指名するようになった、というのももちろん大きいのですが、もっと大きいのは、どういうチームを作るのか、そのビジョンがはっきりしていること。
☆現在のスタメン、菊池・田中・丸のセンターライン、また誠也くん、安部などを見ても、狙いは明らか。またピッチャーも、まずはローテの中心になるピッチャー(福井・野村・大瀬良・岡田)、そして試合を作れるピッチャー(九里・横山)と、先発陣をしっかりさせる。さらに西原・オスカル・飯田・薮田あたりは、中継ぎ補強。またオスカル・飯田に加え、塹江や高橋樹など、左腕も積極的に獲ってます。
☆今年の外国人の補強が当たったように、単にいい選手ばかり獲っても、ダブついてしまったり、チーム編成上使いづらいメンバーでは、チームはなかなか強くならない。チームにとってどんな選手が必要なのか、そしてその前に、そもそもどんなチームにしたいのか。
☆…ま、その辺は、秋からのブログで、まーまーさんがK.Oより数倍上手に解説して下さるはずです(笑)。
◇セ・リーグ
▽巨人 3 - 2 中日 (G11-13-1 東京ドーム)
巨人が今季の2位を確定させた。巨人は2-2で迎えた延長12回裏、阿部と村田の連続安打などで2死満塁とする。この好機で小林誠が適時打を放ち、4時間38分の熱戦をサヨナラ勝利で決めた。敗れた中日は、初回に2点を先制するも追加点を奪えず、6連敗でシーズンを終えた。
勝 田原誠 4勝3敗0S
敗 祖父江 0勝4敗0S
本塁打 福田10号②
▽ヤクルト 6 - 5 DeNA (S10-14 神宮)
ヤクルトは1点を追う4回裏、中村のソロで同点とする。再び1点リードを許して迎えた5回には、雄平の適時打と西浦の2ランで3点を挙げて逆転に成功した。投げては、5番手・秋吉が今季19セーブ目。敗れたDeNAは、先発・今永が振るわず、連勝が5でストップした。
勝 石川 8勝8敗0S
敗 今永 8勝9敗0S
S 秋吉 3勝4敗19S
本塁打 筒香44号② 宮崎11号 中村3号 西浦6号②
☆中日、勝てませんなぁ。去年までのどこぞの赤い帽子のチームを見るようで、つらい(笑)。森監督代行の方が谷繁さんより勝率が低いそうで。谷繁さんのせいですかねぇ。DeNA、今永くん、打たれましたね。カープも参考にしてほしいですね。
順 チーム 試 勝 負 分 勝率 差
①広島 141 87 52 2 .626 優勝
②巨人 140 71 66 3 .518 15.0
③横浜 142 69 70 3 .496 3.0
④ヤクルト141 63 77 1 .450 6.5
⑤阪神 141 62 76 3 .449 0.0
⑥中日 143 58 82 3 .414 5.0
☆巨人の2位が確定、CSファーストステージは、東京ドームで、巨人vs.DeNA。
◇9月29日(木)の予告先発投手
○読売ジャイアンツ
田口 麗斗
25試合10勝9敗 防御率2.67 WHIP1.23
対C 8試合2勝3敗 防御率3.26 WHIP1.32
VS (東京ドーム 18:00)
○広島東洋カープ
福井 優也
12試合4勝4敗 防御率4.46 WHIP1.51
対G 4試合2勝0敗 防御率1.93 WHIP1.00
○横浜DeNAベイスターズ
三浦 大輔
2試合0勝2敗 防御率8.64 WHIP2.16
対S 0試合0勝0敗 防御率 - WHIP -
VS (横浜 18:00)
○東京ヤクルトスワローズ
杉浦 稔大
16試合3勝2敗 防御率6.48 WHIP1.88
対DB 2試合0勝0敗 防御率12.60 WHIP3.00
☆福井くん、結果より内容を。
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source : K.Oのカープ・ブログ。