【25年ぶり鯉のぼり4】壮大かつ個性的なジグソーパズルは、探し求めていたいくつかのピースが当てはまり、完成の時を迎えた。集った若き精鋭たち。人材発掘と育成というカープの良き伝統を理解したうえで、彼らに最終仕上げともいえる「勝者のメンタリティー」を落とし込んだのが、他球団で優勝経験を持つコーチ陣だった。
2012年オフに球団はオリックス2軍監督、打撃コーチなどを歴任した新井宏昌を打撃コーチとして招へい。01~03年に1軍チーフ兼打撃コーチを務めた松原誠以来となる外部招へいだった。13年から2年連続で3位。優勝には至らなかったが、若い選手の技術の「引き出し」を増やすには一定の効果があった。
新井の辞任により、守備走塁コーチだった石井琢朗が今季から打撃コーチに。外野守備走塁コーチには西武コーチを退いたOBの河田雄祐が就任した。この配置が吉と出た。
横浜「マシンガン打線」の1番だった石井は、通算2432安打を放った現役時代さながらの「しつこさ」を打線に植え付けた。昨季リーグ優勝したヤクルトを参考に簡単に三振しないことを徹底。状況判断の重要性も叩き込んだ。加えて、新井貴浩の起用法を思案。「打線の軸として、一年を通じて良い状態でやってほしかった」と、打撃を崩される可能性が高いと判断した投手と対戦する際は先発から外した。新井は14日もそうだったように阪神・藤浪晋太郎、巨人・菅野智之らとの対戦が今季はない。昨季は自らオーダーを決めていた監督の緒方孝市も大半のケースで「石井案」を受け入れた。12球団最高のチーム打率を生み出した一因がここにある。
広島、西武で名バイプレーヤーだった河田は、走塁技術はもちろん、意識を変えることに腐心した。「いつも打つことはできない。打てなくても点を取るために一つでも先の塁を…と、選手と一緒に徹底してきた」。ミスが出ると、最初に選手の考えを聞き、納得できればコーチ会議で「私のミス」と謝罪。思い切った走塁は、リーグ唯一の3桁を記録する盗塁数にも表れている。
河田は、ヘッドコーチの高信二と同じ1985年入団。1学年下の緒方とは若かりし頃から研さんし合った仲でもあった。広島の伝統を知る者が、計り知れない相乗効果も生み出した。 =敬称略= (広島取材班)
◇「優勝」野村前監督が声に出してまいた種が実結ぶ スポニチアネックス 9月16日 9時16分配信
【25年ぶり鯉のぼり5】09年秋、引退から4年を過ぎた野村謙二郎は12年連続Bクラスからの再建を託された。短期間の臨時コーチ以外では指導者歴を経ない監督就任だった。現役当時は7年間に渡って主将を務め、オーナーの松田元から「切り札」と期待を寄せられた。
最初のミーティングで選手に呼びかけた。「目標は優勝。Aクラスを目指す――はやめよう。笑われてもいいじゃないか。優勝という目標を言葉にしよう」。実際、本当に周りには笑われた。構わなかった。泥臭さ、負けん気、誇り…。赤ヘルの伝統が薄れているという危機感があったから、半ば無理やり、「優勝」と選手に言わせた。
全力疾走やバックアップなど「当たり前のこと」から説いた。若い選手は特に?って怒った。向かってきた一人が丸佳浩だった。「もっと教えて欲しい――。そんな目をしていた」。11年秋のドラフトで無名の地方大学から加わった菊池涼介には驚かされた。「教えたことがすぐにできた」。堂林翔太は3年目で全試合起用し、鈴木誠也も1年目から抜てき。投手でも中崎翔太や戸田隆矢らを引き上げた。「リスクはある。でも、スカウトの眼を信じた」。代わりに中堅選手を外すときには「はい上がってきて欲しい」と心を鬼にした。
3位争いに敗れた12年頃から変化に気付いた。優勝したい――。強制ではない自発的な選手の声を聞いた。13年に16年ぶりAクラス入りを果たし、クライマックスシリーズ(CS)に初進出。5年目の14年には秋に巨人と優勝争いを演じた。10年春の開幕戦と14年秋のCS最終戦。最初と最後で、まるで違うチームになった。土台をつくり、退いた。
区切りをつけたのは激務による心身の消耗以外にも理由があった。「カープは常に人材を見いだして育てていかないといけない球団。監督が代わって視点が変われば、新しい人材がきっと出てくる。だから、長くやり過ぎない方がいい」。後を託した緒方孝市が宙に舞う光景を「見事に“アンカー”を務めてくれた」と心から喜んだ。
悲願の優勝から一夜明けた11日の巨人戦。2年目19歳の左腕、塹江敦哉が1軍デビューした。1/3回6失点、防御率162・0の出発にもうなずいた。「優勝して終わりじゃない。次の世代の人材を見いだそうという意思表示だと思う。もう25年も待たせるわけにはいかないから」。志が引き継がれたことがうれしかった。=敬称略、終わり=
(広島取材班)
☆丸がセンターに定着したのが、野村監督2年目の、2011年。東出の故障から菊池がセカンドに定着したのが、2012年。ただ、この頃は投打ともに駒不足で、チームの形も出来上がっていませんでした。
☆野村監督はとにかく主力選手を育成しよう、という感じで、丸や菊池を辛抱強く使い続け、チャンスで打てるバッターにさせよう、という意図で采配しているように見えました。なかなか点は取れず、打線は外国人頼み、また投手陣も、先発・中継ぎともに、なかなか形が出来ない。
☆ただ、ドラフトで獲ってくる選手、そしてチーム編成を見ていく内、このチームなら優勝できるんじゃないか、ということで、K.Oもブログを書き始めます。
☆結局野村監督時代は、Aクラスには入り、CSにも出ましたが、突破はできず。リーグ優勝もできませんでした。ただ、今のチームの土台ができたのは、間違いなく、野村監督の時。
☆2015年、緒方監督になり、緒方監督は田中くんをショートに固定します。ところが寸前でCSも逃し、4位。外国人野手が機能しなかったのが大きかったのですが、もっと言えばやはり、外国人に頼らなければ勝てないチーム、でした。
☆野村監督も緒方監督も、「このチームはキクマルのチーム」と言っていますが、これは何もキクマルがチームの中心選手、ということだけではありません。センターラインを中心とした守り、足、そして打撃。そういったチームカラーを象徴しているのが、キクマル。彼らは山田や筒香のように、パカスカ打つ訳じゃない(笑)。でもカープは、ヤクルトより、横浜より強かった。それはやはり、カープという「チーム」が強かった、ということだと思います。
☆そして、3人の打撃コーチ、守備走塁には河田コーチ、畝投手コーチ。高ヘッドコーチも含め、今年ほどコーチ陣がクローズアップされた年も珍しい。畝コーチや迎コーチは、選手としての実績が乏しいというだけで、散々叩かれてましたが、コーチというのは、選手としての実績は関係ありません。全く別の職業、と考えていい。我らが偉大な先輩、上田利治さんを出すまでもなく、選手としてはさっぱりでも、名監督・名コーチになった人は、たくさんいます。
☆今年、セ・リーグはカープが優勝し、パ・リーグは日本ハムが優勝したのは、象徴的な出来事だった、と言っていいと思います。ソフトバンクは柳田が離脱してから失速しましたが、打線が点を取れない分、中継ぎ陣に皺寄せが行った印象。逆に日本ハムは、守護神のマーティンが離脱しても、中田が打てなくても、チームは勝つ。またオリックスは、大物選手がことごとく活躍できませんでしたが、チームの形ができておらず、逆に大物をたくさん取ることでチームの形を崩してしまった、と言ってもいいくらい。ここも大物不在によって点が取れないことで、中継ぎ陣は平野・佐藤達など総崩れ、金子ら先発投手にまで負担がかかった感じです。
☆何かに依存しない。どこかが欠けても戦っていける、チームの「器」を作っておく。総合力に優るチームが、年間を通して勝っていける、ということ。
☆昨年は外野手のシアーホルツを途中で補強しましたが、今年はプライディには全く出番なし、途中で獲ったのは、中継ぎの、デラバー。この辺も、今年のチームを象徴していると思います。
◇セ・リーグ
▽阪神 2 - 1 巨人 (T8-15-1 甲子園)
阪神がサヨナラ勝ちで6連勝。阪神は1点ビハインドで迎えた9回裏、1死一三塁から代打・福留の適時打で同点とする。さらに1死満塁の好機をつくると、俊介が犠飛を放ち試合を決めた。投げては5番手・金田が今季初勝利。敗れた巨人は、守護神・澤村がリードを守れなかった。
勝 金田 1勝0敗0S
敗 澤村 6勝4敗37S
☆澤村はフォークが使い物にならず、ストレート頼み。そりゃ絞りやすい。
順 チーム 試 勝 負 分 勝率 差
①広島 142 88 52 2 .629 優勝
②巨人 142 71 68 3 .511 16.5
③横浜 143 69 71 3 .493 2.5
④ヤクルト142 64 77 1 .454 5.5
⑤阪神 142 63 76 3 .453 0.0
⑥中日 143 58 82 3 .414 5.5
☆4位、5位がどうなるか。中日の最下位は、予想外でした。
◇10月1日(土)の予告先発投手
○阪神タイガース
岩貞 祐太
24試合9勝9敗 防御率3.03 WHIP1.11
対G 3試合2勝0敗 防御率0.75 WHIP0.79
VS (甲子園 14:00)
○読売ジャイアンツ
大竹 寛
16試合6勝5敗 防御率3.40 WHIP1.31
対T 1試合1勝0敗 防御率0.00 WHIP0.38
○広島東洋カープ
黒田 博樹
23試合9勝8敗 防御率3.17 WHIP1.22
対S 3試合2勝1敗 防御率1.89 WHIP0.89
VS (マツダ 18:00)
○東京ヤクルトスワローズ
小川 泰弘
24試合8勝8敗 防御率4.50 WHIP1.28
対C 4試合0勝1敗 防御率7.32 WHIP1.68
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source : K.Oのカープ・ブログ。