三振について。
野球は投手が投げた球をバットで打ち返す競技である。その点だけを捉えればクリケットと同じである。公園で草クリケットをやっているのを見て、走りながら投げてよくコントロールできると感心して見ていたことがあるが、死者が出たこともあったようで危険なスポーツであることは変わらないのだろう。
至近距離から高速で球が飛んできて、タイミングを外されたり変化したりもするわけであるから、基本的にはバットに当てるだけでも難しいのだろう。佐々木クラスの抑えの投手が相手だと悉く三振させるような印象もある。
どれぐらいの割合で三振しているのか、ある程度打席があって三振が多い打者のデータを見てみたのだが、2割ぐらい三振していると多いようである。セリーグでは、畠山、筒香、ゴメス、村田といった強打者たちが2割前後三振している。
三振というのは強打者が振り回すから多くなるのだ、という固定観念があったのだが、松井雅人の三振の多さを見ると、必ずしもそうではないようである。今季の松井雅人は98打席で30三振と、実に3割以上の割合で三振している。並み居る強打者に対しても1割以上高い確率であり、セリーグでそこそこ出ている打者のうち松井より三振率が高いのは福田ぐらいではないかと思われる。
3割打者が一流であると言われるが、3割と2割5分の差はわずかに5%であり、期待値でヒット1本分変わってくるのに実に20打席必要となる。3割打者は20打席でヒット6本、2割5分であればヒット5本である。しかし結果の数字だけではなく、印象としても3割打者は2割5分の打者より良く打つように見える。すなわちこの5%というのは体感的に大きな差となって感じられれるということであろう。
松井が三振する確率は名だたる三振が多い強打者と比べて1割高い。三振が多いというイメージにも納得である。強打者の場合、三振を覚悟して長打を狙いにいっているために三振の割合が増えるという要因があるので比較が適切ではないかもしれないが、なかなか厳しい数字である。
昨季も今季に近い数字であり、バットに当てようとして当たらない苦労が感じられる。元々打撃がいい選手であるという解説者の言葉を信じたい思いもあるが、しかし数値の上では異次元であり、野手のように普通に打たせていて良いのか、というのは疑問に思われる。
先日秋田でスクイズをやっていたが、あの後そんなシーンも見なくなったように思われる。走者がいなければ四球だけを狙うという手もあるだろう。三振率を見る限り普通のレベルではないのだから、それに合わせた方策を考える必要があるだろう。今後の成長も期待したいが、今日現在主戦捕手を努めているのであるから、現状を受け入れた上で勝つための戦術を期待したいものである。バントでもなんでも、1つぐらいは武器を持っていれば他も生きてくるだろう。
前に福田がチャンスで当てにいって併殺に倒れた時、いつも通り振って結果三振でもいいのにと思ったのだが、当てにいって当てるというのもなかなか簡単ではないということなのだろう。
とはいえ、バントにしても技術が必要であり、大きな上積みは期待しにくい。やはり投手と分断するのが良いのではないかと思われる。
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source : シリコンバレーからドラゴンズを語る~GM編~