吉見は報道によれば一応大丈夫そうだとのことで、巨人戦に回るようである。
予告先発を回避した以上、広島戦で投げるのはばつが悪いということもあるのだろう。しかし予告先発というのは意味がある制度なのか甚だ疑問である。相手チームの了承を取ってということだが、了承しなかったらどうするのか。逆に嘘をついて悪用したらどうするのか。関係者の善意に頼っての運用は後味の悪い結果を起こしがちである。
趣旨としては、人気の投手が投げることを予告することで動員数を増やすことが狙いだそうだが、当然逆もまたしかりである。谷間の日には動員数が下がることとの兼ね合いで、本当にプラスになるのだろうか。また動員数を気にしてベストの采配ができなくなるというリスクもある。福田と高橋でどちらが先発なのか知りたい、という興味もあるだろうから、同じ理屈であれば野手も予告すべきであろう。
結論として、自由度を奪うという点で予告先発というのはあまり意味がない制度なのではないかなという気がしてならない。吉見が先発だと思って球場に来たら武藤が先発だった、となると逆に不満足の要因にもなりうるし、吉見を見に来たファンの前で投げる武藤も気の毒である。そもそも予告先発が動員数とどこまで関係があるのかも不明であり、前日に開示されても、よほど近所の人以外はもっと早い段階で予定を立てるのではないだろうか。
さて、話はそれたが、今週のローテーションを考えてみたい。大野を中5日でじわじわと週の頭まで持っていくと登板回数が増えて良いが、中5日というのは少し大変な日程という認識であり、このまま土曜日で維持するのが良いだろう。吉見が万全だとすると、広島戦はバルデスと山井、巨人戦は吉見、大野、小熊の順で投げさせる感じになるだろうか。
小熊は前回無失点で抑えており、武藤は緊急登板ながら勝ち星を挙げた。この2人がローテーションに入ってくれるとかなりやりくりも楽になるだろう。八木や若松も二軍で頑張っており、また話題先行ではあるが山本もブルペン入りしたようで、先発陣はかなり充実してきているという感触である。
救援陣は又吉、福谷が苦しんではいるが、コマ数と平均点、バラエティーや若さを考えれば、レベルとしては高いと思われる。軸になる投手がいないという苦しさがあるだけであろう。又吉、福谷にそれを期待するのか、田島や岡田がその位置を奪うのか、浅尾、高橋や岩瀬が経験の差を見せつけるのか、金子などの若い投手が飛躍するのか、大穴で祖父江が巻き返すのか、それとも誰も頭角を現さず苦労しながらシーズンを終えるのか、先行きが大変楽しみではある。いいポジションで投げられるのはせいぜい2,3人であり、これまではそれが負担となってしまっているようだが、その位置にいない選手にとって挑戦できるのはチャンスである。前向きに頑張って貰いたい。
まだ失敗が少ない場面で外すと外された選手はどう思うのか、という意見もあるが、自己評価と他者からの評価が一致しないのはやむを得ない。過度にチャンスを与えられれば、「またチャンスを貰って申し訳ない」と思い、なかなかチャンスを与えられなければ、「俺はもっとやれるのに外しやがって」と思うだろうが、メンタル面を考えると後者の方が良い結果を生みやすいのではないかなという気がしている。
打線に目を転じると、12球団最高の打率だそうで、全くそんな実感はないのだが、しかし結果は結果である。良く打つということだろう。かつての藤井もそうだが、ヒットはそうそうまぐれで打てるものではなく、これだけの試合数をこなして1位ということは、それだけの実力はあるということだろう。特に松井が投手以下の打率であることを考えると、野手の平均点は相当に高いと言って良い。
一方でなかなか点が入らないケースが多い。個人的には松井の打率が極端に低いため、下位に向かっていくところで力が入ったりするのかなという気がする。2人連続でアウトの確率が高いという打線は切れてしまいがちであり、いっそのこと松井を6番ぐらいに上げて、走者がいて2死でない場合は常にバントというぐらい徹底してみてはどうだろうか。
無死満塁で高橋、その後は松井と投手という並びである場合、確かに高橋は重圧がかかるだろう。これが無死二塁でも同じようなものである。
1番 大島
2番 亀沢
3番 平田
4番 ルナ
5番 ナニータ
6番 松井
7番 高橋
8番 エルナンデス
9番 投手
というぐらいにしてやると、高橋への負担も減ると思うのだがどうだろうか。対戦相手を見るに、梅野のような長打がある8番打者というのはやはり気持ち悪く思える。松井は三振が多いのに加えて、ストライクボールの見極めも苦手で長打もないという意味で、相手投手からすれば非常に気楽に投げられる相手であり、1番に回したとしても長打が少ない大島であり、ここで休憩させてしまうのが、ヒットが出ながら得点に繋がらない要因であるような気もする。確率論から考えれば1割打者を6番に据えるというのは論外かもしれないが、後半になれば代打を出すこともできるので、悪くないと思うがどうだろうか。話がそれたが、打率が高い打線であるというのは、実力があるということである。
先発、救援、打線とそれぞれ高いレベルに仕上がりつつある中で、どうして勝ち星が伸びないのかと言えばやはり守備だろう。福田、高橋、亀沢といった経験のない選手達が内野に入り、他の選手もルナやエルナンデスという外国人であるため、精密な連係プレーが出来ないというのはやむをえない。荒木と森野がいれば落ち着くのだろうが、過渡期として今の状況はやむを得ないようには思われる。またナニータや桂は打力優先で起用した選手であれ、彼等の犯したエラーというのはやむをえまい。余談ながらナニータのあまりにふんわりとした送球はいつか隙を突かれそうで少し心配だが、状況を考えてやっているのだろうと受け止めている。
走塁に関しても、相手球団には割と簡単に走られるのに、大島や亀沢といった俊足の選手がアウトになっているのは残念である。盗塁も含め、よく分からないがこのあたりは技術に差があるのだろう。本塁突入において、昔荒木などアウトっぽいタイミングでもセーフになったりしていたように記憶しているが、最近は微妙なタイミングでよくアウトになっているように思える。
守備と走塁で後塵を拝するというのはかつてのドラゴンズを思うと悔しさもあるが、選手の入れ替わりでチームカラーも変わっていくものなのだろう。連携などはこれから上積みも期待でき、森野が戻ってこれば引き締まってくる部分もあるだろう。
今年は非常に可能性のあるチームであるように思われる。なんとか当面は5割近辺を維持して、終盤追い込んで貰いたい。
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source : シリコンバレーからドラゴンズを語る~GM編~